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【プロドラマーに聞いてみた】シンバルのセッティングや奏法で大事なことは?
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【プロドラマーに聞いてみた】シンバルのセッティングや奏法で大事なことは?

ドラムセットの中で、チューニングがほとんどできないもの……

それがシンバルです。

ミュートをしたり、シズルを付けたり、複数枚を重ねてみたりするくらいが関の山。

なので、購入時は結構こだわって選んで良いと思います。

個人的には演奏時におけるこだわりは、さほどありません。

叩けば鳴る楽器」なのでね(笑)。

今回は、そのシンバルのセッティングについて焦点を当てていきたいと思います!

プロドラマー幸田(Cody)祐介さんにインタビューしてみましたので、そこでの貴重なお話を後半では紹介します。

シンバルのセッティング

シンバル

一番良く鳴るセッティングは、地面に対して水平です。

日本のポップスを支えるドラマー:河村カースケさんのセッティング

無駄がない感じがします。

ドラマー界のベーブ・ルース的な存在のBuddy Rich

昔は、ブームスタンドなんてなかったですからね。

ストレートシンバルしかないし、角度の調整なんてつけられません。

まさに鍋の蓋状態です。

叩いた時に前後左右にグワシャーン!と揺れることで音が響きます。

角度が付いていると、手前側にしか揺れないので、鳴りとしてはそんなに響きません。

これは、精密なレコーディングレベルの話なので、ライブなどではほとんど気になりません。

一番気にしなければならないのは、自分が叩きやすいかどうか?です。

名立たるプレーヤーは、セッティングにもこだわりが詰まってます。

アレキサンドロスのドラム:庄村聡泰さんのセッティング

俺がやったら絶対に疲れちゃう(笑)。

Terry Bozzioのセッティング

皆さんご存じ、Terry Bozzioのシンバル!

圧巻ですね!

楽器屋さんみたいって言ったら起こられちゃうかな?(笑)。

PRINCEのドラマー:John Blackwellの後ろにあるチャイナシンバル

いったいどうやって叩くのだろう?

ある記事で読みましたが、日本を代表するトップドラマー村上”ポンタ”秀一さんのセッティングは、JAZZ系の時のシンバルはタムと同じくらい低い位置にあります。

逆にポップス系の時はシンバルは高い位置にあります。

タムと同じくらいの高さにする事で、タムを狙っているマイクにシンバルの音も混じる。

その混じった感じが良い!

逆にポップスは、音を分離させる必要があるから、タムのマイクに余計な音は乗せたくないそうです。

マイク乗りまで考えられるドラマーは、世界広しと言えど、ポンタさんだけではないでしょうか?

僕が唯一こだわっている奏法を2つだけ紹介します

斜めに振り抜く・引くイメージを持つ

クラッシュシンバルを打つ時ですが、時代劇で武士が人を斬る時に、若干斜めに斬り抜く感じってわかります?

袈裟切りみたいな感じですね!

シンバルは、ただ上から下にスティックを下ろすだけだと、前後の揺れしか生まれません。

ヘタしたら、コワンっとしか鳴らないときもあります。

先にも書いたとおり前後左右に全体を「ブワァ~」っと揺らすことが大切と考えていますので、って斜めに振り抜く・引くイメージを持つと良いかもしれません。

板前さんの動画を見るのも参考になるかも?です。

包丁を上から下に下ろしてしまうと、お刺身は潰れちゃいますが、板前さんは引くように包丁を扱っています。

「ドコドン」

これは、多くのドラマーがやっていることですが、曲の最後にパフォーマンスの意味も込めて自分側ではない向こう側を叩きます。

曲の最後で、これを決めると、達成感に包まれて「やりきったぞー!」ってなります。

そして最後に「ドコドン」で締めるわけです!

この、ドコドンの後に、ベーシストに「ブーン!」ってやられると、鳶(とび)に油揚げを取られたような、空しい気持ちになるのは、ドラマーあるあるかと思います(笑)。

プロドラマーに聞いてみよう!

チューニングがあまりできない楽器だからこそ、そのプレーヤーのこだわりがモロに出るものと思います。

セッティングもそうですが、叩き方やどんな楽器を使っているか?どのメーカーがお気に入りか?などなどw

正解がない世界だからこそ、自分のこだわりを作り上げていくことが大切ですが、その自分のこだわり作るためにも、他のプレーヤーのことを知ること。

これが、とても重要です。

ってなわけで、この後はインタビュー形式になります。

中村:今日は、プロドラマーの幸田祐介さんに、シンバルについてのアレコレを伺いたいと思います。今日はよろしくお願い致します!

幸田:よろしくお願い致します!

左:幸田(Cody)祐介、写真右:中村"NOBU-san"暢晃

※写真左:幸田(Cody)祐介、写真右:中村”NOBU-san”暢晃

中村:まずはセッティングですが、こだわっていることや注意していることはありますか?

幸田:ライドシンバルですが、1タムと2タムとで若干変わりますが、2枚のクラッシュシンバルの内側(真ん中)にくるようにセッティングします。肘が落ちた状態をキープするようにしています。肘(ひじ)を上げた位置にシンバルをセッティングすると、腕を常に上げている状態となり、リラックスした状態ではないので、僕はそのようなセッティングはしないですね。基本的にチップが当たれば良いというのがこだわりです。1タムの時はもう少し水平になります。

1タム時のセッティング

シンバルシンバル2タム時のセッティング

シンバル

シンバル

中心から円を描くようにセッティングします。腕の高さを中心に考えると、多少重なっても影響なければ問題ないので、クラッシュシンバルもタムの上に来るスプラッシュシンバルの高さも含めて、ほぼ同じ高さなので、見た目にも美しいと言われてうれしかったです(笑)。

中村:なるほど。確かに見た目にも奇麗ですよね!でも、その位置だとシンバルの中心(エッジからカップの間)は、少し遠い気がしますが?

幸田:シンバルの一番美味しいところは、エッジから2〜3cmの辺りです。ココが一番良く鳴ります。ロー(低音)が響きますよ。

シンバル中村:えっ!?(ビックリ)低音ですか?

幸田:そうです。ハイが出ている印象ですが、シンバルはローです。そのイメージで演奏しています。

中村:コレには驚きました。エッジから2〜3cmの辺りですね?確かに肘が落ちていてリラックした状態の時に、ちょうどエッジから2〜3cmのところに来ますね。カップ打ちはその分遠くなってしまいますが?

幸田:そうですねぇ。カップ裏打ちみたいな時は、その都度手元(エッジから2〜3cm)まで戻しています。そうすることで、身体の緊張と緩和を作ってリラックスした状態を多く作ることを心掛けています。

シンバル
中村:コレはハイハットでも同じですか?

幸田:そうですね。基本的にはあまり真ん中は叩きません。僕はエッジを使っての演奏はあまりせず、チップでハイハット・トップ側を叩くのが好みですので、あまり高くしません。年々低くなって来ていますね。でも低くするとスネアとのクロスプレイが難しくなるので、ちょうど良いところにセッティングしています。

中村:開け具合はいかがですか?

幸田:だいたい、指1本分です。

中村:意外!もう少し開けていると思いました。

幸田:僕の場合、開けすぎると、フットスプラッシュがやり辛いんですよね。開けるということは、踏み白も深くなるので、その分忙しくなりますからね。かと言ってほとんどど開けていないドラマーもいらっしゃいますが、さすがにそれだと開けなさ過ぎって感じもしますね(笑)。僕にとって、指1本分はオープン・クローズの差も出せるし、フットスプラッシュも充分に出せますしね。

中村:そうですね。ビッグバンド全盛期の頃のドラマーの話しですが、音響が充実していない時代にホールで演奏となると、バックビートに来るハイハットの音が聞こえないので、床を踏む時のドシーン!っていう音も使うくらいに開けたって伝説を聞いたことがあります。

幸田:そうなんですね?僕はうまく使えないな〜(笑)。

中村:僕も無理っす(笑)。奏法について注意している点はありますか?

幸田:基本的には「当たれば良いじゃん!」くらいな感じです。ただし、シンバルは主立って手で演奏しますが、やっぱり下半身なんですよね。

中村:っと、言いますと?

幸田:クラッシュシンバルを打つ時にバスドラムも踏むと思いますが、年数の浅いドラマーの多くは、どうしてもクラッシュシンバルが先に鳴ってしまうんです。「チャ・ドン」みたいに。同時が基本ですが、聴感上はバスドラムが先の方が綺麗に聞こえます。「ド・ジャーン」みたいにね。なぜ、先にシンバルが鳴ってしまうかというと、上半身ばかりに意識が行って、下半身が落ち着いていないからだと考えられます。まずは8ビートから!これでも良いんですが、先のことを見据えると、下半身の安定は、通らなければならない道のりだと思います。そう考えると、バスドラムで4部音符を踏みながら、2・4拍でハイハットをチャッと踏む練習、これってすでにJAZZですよね。JAZZをやれとはいいませんが、こう言った練習をしておくことが大切です。

中村:具体的にどんな練習をしたほうが良いですか?

幸田:1曲、ハイハットやライドを使わずにフットワークだけで叩けるようにすると良いですね。バスドラムとハイハットだけでね。

中村:読者の皆さん!要練習ですよ!他に意識していることはありますか?

幸田:クラッシュシンバルの考え方ですが、僕はスプラッシュシンバルやチャイナシンバルと同じく、エフェクトシンバルという解釈で演奏しています。好みの問題かもしれませんが、景気良くサスティンが長いものがあまり好きではないんです。アクセントが付けば十分と考えます。もちろん、ライブの時はジャーン!って行く時もありますが、曲の最後くらいですかね?

中村:面白い解釈ですね!確かに、ライブを拝見したときも、そんなに気合入れて叩いていませんよね?

幸田:手を抜いている訳ではありませんよ(笑)。ただ、自分が「シンバル」というパートならそれで好いかもしれませんが、僕のパートは「ドラム」なんでね。

中村:個人的悩みなんですが、片手16ビートが何となくマンネリ化してるのですが、良い練習方法はありますか?

幸田:昔の主流の片手16って8分音符のところにアクセントがきていたと思います。

A:(チクチク チクチク チクチク チクチク)

しかし、最近のゴスペル系の黒人ドラマーの片手16は、拍の頭にアクセントを置いてます。

B:(チククク チククク チククク チククク)

これを考えると、Aだと8ビートに聞こえてしまうんですよね〜。

中村:おー!確かに!

幸田:腕の動かし方から考えるとAの方が楽なんです。しかし、今はテクノロジーの発展で、どうしたらよく聞こえるか?JAZZやBLUESでも跳ね具合が微妙に違っていて、昔はそれを測る機械がなかったから「個性」っていう大きな括りにされてしまっていたと思うんです。逆にどう聞こえるか?を機械で打ち込んで、それを練習することも今は可能な世の中です。例えば、シャッフルも3連譜でどう構築するかだけでなく、4連譜の1と4、5連譜の1と3&4と5、6連譜の1と6など、少し訛らせていた演奏が、計測されてしまう時代になっているので、逆にドラマー側がそういうフレーズを打ち込んで、そのナマッた感じの練習をする!なんて使い方をするのも面白いことかと思います。

中村:確かに機械の進歩でドラマーの仕事が減るって言う事態もありますね。

幸田:だからこそ、生演奏の価値が問われていると信じています。結局は、われわれ生演奏家ですよ!

中村:本当にそうですね!今日はありがとうございました!

幸田:ありがとうございました!

幸田(Cody)祐介 プロフィール

幸田(Cody)祐介20代の時に河瀬勝彦・東原力哉に師事。

その後、山背弘氏よりモーラー奏法を学び、山背弘ドラムメソッド講師として活動。

平行してコーディードラムレッスンを立ち上げる。

レッスンを行いながら、岩瀬立飛氏に師事しドラマーとしての表現を学ぶ。

現在はバンド活動やサポート、ドラム講師として関東を中心に活動中。

★Codydrumlesron★
(コーディードラムレッスン)

西荻窪でドラムレッスンやってます。

全て個人レッスンで1時間5,000円(スタジオ代込)

Instagram:@codydrumlesson

Twitter:@yusukecoda

YouTubeチャンネル:http://www.youtube.com/codydrumlesson

サイト:https://sites.google.com/site/codydrumlesson

ブログ:http://www.codydrumlesson.blogspot.jp

アメブロ:http://ameblo.jp/codydrumlesson

取材協力:ミュージックスタジオ楽音

ライタープロフィール

ドラマー

中村"NOBU-san"暢晃

乙女座 AB型 12歳の秋、両親の勧めでドラムを始める。

この頃は、音楽の楽しさが理解出来ず、塾に行く感覚で通い始める。

中学生の頃に課題曲でやった、Suzanne VegaのLukaという曲から、面白さ・凄さを見いだす。

高校生の頃は、多数バンドに参加(ドラマーが僕しか居ないという事態)。

ここでも、ドラムの重要性を痛感する。

高校卒業後、専門学校に入学し、ドラム、ラテンパーカッション、ドラムコー、人間学を学ぶ。

また、この時期に出会ったBlack Musicは、僕の一生を左右するくらいの衝撃の出会いだった。

現在は、POPS、FUNK、ROCK、歌謡曲、演歌、JAZZ、HARD ROCKなどジャンルに納まらないLIVE活動やサポート活動の他、インストラクターとしての顔も持つ。

また、イベント主催やミュージシャンコーディネーター(インスペクター)としても、高い評価を得ている。

演奏サポートやLesson希望の方は、Mailにてお問い合わせ下さい。

ウェブサイト:http://nakamuranobuaki.org

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