ドラムの3点セットで表現の幅を広げるには?
さて前回の記事では、ドラムセット全体のセッティングについてのお話を書きましたが、ざっくりいうと、
- セッティングの基本は3点セット
- セッティングに煮詰まったら3点セットに戻る
ということを書きました。
しかし3点セットもいいことばかりではありません……。
それは、
- 「フィルイン(オカズ)」のバリエーションがワンパターンになる
- 多点セットで叩かれている既存の曲を再現しにくい
- 早いタム回しがやりにくい
などの問題点があります。
なので、今回はこれらの対処法について書いていきたいと思います。
フィルイン(オカズ)のバリエーションがワンパターンになる
これはセッティングを3点セットにすると起こりがちなことなのですが、フィルインを入れようとすると、いわゆる「タカドン」と聴こえるような手順、つまり、
スネア→ハイタム→フロアタム
の順に叩くフィルインばっかりになってしまうことがあります。
歌があるポップスだと、凝ったフィルインは敬遠されがちなのでこれはこれでいいのではないかと思いますが、ちょっと凝ったロックやインスト曲をやるときはどうしても物足りなくなってしまいます。
しかしジャズドラムのドラムソロを見ていただければわかりますが、3点セットでここまでできるか!というくらいに多彩な表現をしていることが分かります。
ただ私もそうなのですが、ロックやポップスからドラムを始めた人がいきなりジャズドラムのドラムソロのエッセンスを習得するというのは至難のワザ。
なのでひとつお手軽に使える考え方を。
それはさっき書いた、スネア→ハイタム→フロアタムの順に叩くフィルインの間に別のものを入れてみるということです。
例えば、
スネア→ハイタム→スネア→フロアタム
スネア→フロアタム→バスドラム→スネア→ハイタム→フロアタム
みたいな感じです。
これはあくまで叩く順なので具体的な譜面はいろいろアレンジしてみてくださいね。
もともと多点セットで叩かれてる既存の曲を再現しにくい
これに関しては、少し前に話題になったにゃんごスターの動画を観てもらうとわかりやすいのですが、
3点セットでX JAPANの曲を見事に再現しています。
にゃんごスターのフレージングを原曲と比較してみると、フィルインの部分はほぼハイタム1つでカバーしていることがわかります(特にイントロの出だしの部分など)。
要するに3点セットとプロ仕様の多点セットの違いとは、ザックリ言えばタムタムの数の違いがほとんどで、後はエフェクトシンバルの有無かなと思います(まぁ後者はプログレのようなマニアックなジャンルに多いですが)。
「原曲通りに再現しよう」と思うと苦しくなるので、自分がアレンジャーになったつもりで、原曲のフレーズは忘れていったんまっさらにして1から作り直す感じで考えてみるといいかなと思います。
早いタム回しがやりにくい
そうなってくると、もう1つ問題がでてきます。
それは、早いタム回しがやりにくいという問題です。
ここでいう早いタム回しとは16分音符でスネア、ハイタム、フロアタムと叩くようなフレーズです。
特に、ハイタムからフロアタムへの移動は、お互いが離れているために慣れないと結構やりにくいものです(しかも、ハイタムからフロアタムに移るときに下手をするとフロアタムのリムに指をぶつけたりして痛い思いをすることもあります……)。
ではどうするかということなのですが、結論を先に言えば胴体の向きに注意しよう!ということなのです。
ここでいう早いタム回しがうまくいかないときとはフロアタムを叩いている時も胴体が正面を向いているときだったりするのです。
つまり胴体と両腕の向きがバラバラだと、体全体が使えずに腕だけ使う力んだ叩き方になってしまいます。
なのでスネアドラム→ハイタム→フロアタムの順に叩くときは、前→前→右というように、カチッ、カチッと機敏に胴体を叩く楽器の向きに切り替えられるといいと思います。
終わりに
というわけで、3点セットを使うときに出てくるであろうお悩みについてその解決策を書いてきましたが、やっぱりシンプルな3点セットに座るとドラムを始めたころのあの爆発するようなワクワク感が今でも感じられます。
普段3点セット以外を使っている方もたまには3点セットに戻ってみると新しい発見があるかもしれません。
ではでは。
ライタープロフィール
ドラマー
Hazime
ドラム歴20年。
プログレッシヴ・ロックバンドのドラマーやってます。
「セレクトーン」という音楽教室にてドラム講師もやっております。
物理学や心理学をからめてドラムの楽しさを広めていくことをモットーとしています。
ウェブサイト:http://www.drum-lesson.net