マッチドグリップ、レギュラーグリップとは?自分に合うドラムスティックの持ち方を探そう!
グリップとは、ドラムスティックの持ち方、握り方のことです。
今回は、自分に合う本当のスティックの持ち方について解説したいと思います。
それぞれのグリップによる違い
僕は17年間マッチドグリップで演奏していましたが、左肩の違和感や不安感が抜けなかったので、冗談半分で練習したレギュラーグリップが、拭えなかった違和感を一気に払拭(ふっしょく)してくれました。
だから、よほどのことがない限りはレギュラーグリップで演奏します。
今となっては、マッチドグリップでの叩き方を忘れてしまうくらいです(笑)。
多くの教則本に掲載されているグリップ(スティックの持ち方)の種類をおさらいしてみましょう。
- ①ジャーマングリップ
- ②フレンチグリップ
- ③アメリカングリップ
- ④レギュラーグリップ
①〜③は、総称してマッチドグリップと言います。
①は、手首の可動域を考えると効率的ですから手首に負担がかかりません。
②は、細かいパッセージを出すには有効な持ち方かと思います。
ジャズのレガートを叩く時はこの持ち方をする人が多いです。
③は、①と②のいいとこ取りでしょうか?(笑)
④は、根本的に動かし方が違います。
※ちなみに、僕は①のジャーマングリップを推奨しています。
僕が考えるレギュラーグリップ
僕が考えるレギュラーグリップは、上腕二頭筋の屈伸運動、肘から先の回転運動、手首や肘の捻りを意識しています。
これは師匠からの受け売りです。
イメージは、ハンカチを忘れてズボンで拭くわけにもいかない時に、手を振りませんか?
あと、突き指した時に痛みを和らげるために、反射的に手を振りませんか?
あの動きです。
注意することは、肘から中指までが1本の棒になっているということ。
手首を内側や外側に反らさないことです。
また、親指を上に向けた時に、握手をする様に下に下げないことも大事です。
親指と人差し指の間で挟むので、1点でしかスティックを支えていないことになりますが、写真のこの部分に乗せるというイメージです。
そして、薬指の第一関節辺りに乗せます。
確かに不安定ではありますが、この「不安定感を安定とする」というところがポイントです。
昔、何かの本で読みましたが、ロータリーエンジンが開発された時の考え方が効率性だったそうです。
レギュラーグリップも同じで、手首の回転運動は、マッチドグリップのピストン運動よりも小さな力で回転数を上げると考えられるでしょう。
とは言え、手のひら全体でスティックを包むマッチドグリップと、親指と人差し指の間だけで支えるレギュラーグリップの安定感には、大きく差があります。
当然、パワーヒッターにとって安定感という意味では、マッチドグリップを選ぶのが多いこともうなずけます。
ドラムは、スピードだけでもなければ、パワーだけでもありません。
どちらかを重視すれば、もう片方が損なわれがちです。
自分の好みの音、プレースタイル、出したい音など……持ち方1つで変わりますし「1つの持ち方で決める必要もない」とも思います。
右手と左手を同じと取るか違うと取るか
僕は、誰かや何かに憧れてドラムを始めたわけではないので、持ち方なんて何でも良かったのです。
師匠はレギュラーグリップで、ものすごくカッコ良く見えますし、実際もカッコ良いのですが、初心者の先入観である「難しそう……」が先に入り、マッチドグリップを選択しました。
右と左同じに持てば良いんですから。
ん?
でも、果たして、全く同じと言えるでしょうか?
多くの方は、右利きか左利きのどちらかのはずです。
サイモン・フィリップスのように、両利きという方は少ないでしょう。
利き腕の反対側は、どうしても思うようには動きません。(逆に素直に動くかもしれません……笑)
「そもそも右と左は、線対称だから左右同じでなければダメ!」っという考え方は、すばらしいことです。
「右と左は別物!」と割り切った考え方もすてきです。
実際、青山純さんのスティックは、左右非対称でしたからね。
ご自身がどう考えるか?
ここが定まらないと、どの持ち方をされても、ブレてしまう危険性を感じます。
ドラムスティックの正しい持ち方とは?
この問いには、いつも二言で終わってしまいます……
「イメージ通りの音が出せて、体が痛くなければ何でも良い」です(笑)。
これは友人が体感した笑い話なんですが「ベンチャーズの参加型セッション」に遊びに行ったときのこと。
彼はレギュラー、マッチド両方使い分けられるので、当然、レギュラーグリップで挑んだわけです。
壁際にいる難しそうな顔したおじちゃんから、こんな一言をもらったそうです。
「メル・テイラーはそうやって持つんじゃない!こうだ!」って言ったそうです。
話を聞いて大笑いでした!
だったらメル・テイラー呼んできたら?って感じがしたのは言うまでもなく……でも、そのおじちゃんも完璧主義だったのかもしれません(笑)。
名演奏家の島村英二さんのレギュラーグリップも独特です。
本人いわく「我流だから」だそうです。
名だたるプレーヤーの持ち方は十人十色です。
指の長さも違います。
演奏するジャンル、もっと手前の出したい音のイメージがそれぞれ違うからと言えるでしょう。
おそらく、自分にとっての「正しい持ち方や腕の振り方」を探すために、毎日パッド練習するのかもしれません。
毎日考えていれば、自分に都合の良い「腕の通り道」が必ず見つかります。
1つのグリップに絞らなくてもいい
上記でもチラッと触れましたが、マッチドグリップで演奏する方で、ライブ中にスティックの支点がグリップエンド側に来て長く持ってしまうことありませんか?
滑ってしまったという不可抗力もあると思いますが、潜在意識の中で「大きな音を出したい」というイメージもあったかと思います。
その「長く持ってしまった持ち方」が、正しいマッチドグリップと言えますか?
すでに、2種類の持ち方を使い分けてるとも言えませんか?
よくある話ですが、ウニウニって支点を動かして、音を変えたりしています。
レギュラーグリップでもそうで、パワー系の時は、長く持ってしまいます。
ロック系の曲では、逆に短く持ったりもします。(注:私個人の見解です)
マレットやブラシなど、普通のスティックではない棒で演奏する時は、支点も違うし、出したい音のイメージもスティックとは違うはずなので、持ち方も違ってきます。
それは、本能で、自分の持ちやすい形に変換しているからだと考えます。
やっぱりドラムで歌うことが大事
ポンタさんの教則ビデオでも仰っていましたが、1番大事なことは「歌うこと」なのです。
スネアの音も「タン!」だけではないはずです。
「ボォン」「ビシッ」「コンッ」「デッ」「ブァン」などいろいろあると思います。
チューニングにも関係してくることですが、持ち方にいたっても同じことが言えると思います。
生演奏が主流の時代の音楽を聴いて、いろいろと参考にしてみてください。
生演奏らしい「泥臭さ」があっておもしろいと思います。
好き嫌いがあって良いのです。
そうやって、自分の好みの音を作って行ってみてください。
そうすれば、自ずと、持ち方も形成されていくと思います。
結論で言えば「持ち方なんて習うより慣れろ!」です。
最後に来て投げやりでごめんなさい(笑)。
ライタープロフィール
ドラマー
中村"NOBU-san"暢晃
乙女座 AB型 12歳の秋、両親の勧めでドラムを始める。
この頃は、音楽の楽しさが理解出来ず、塾に行く感覚で通い始める。
中学生の頃に課題曲でやった、Suzanne VegaのLukaという曲から、面白さ・凄さを見いだす。
高校生の頃は、多数バンドに参加(ドラマーが僕しか居ないという事態)。
ここでも、ドラムの重要性を痛感する。
高校卒業後、専門学校に入学し、ドラム、ラテンパーカッション、ドラムコー、人間学を学ぶ。
また、この時期に出会ったBlack Musicは、僕の一生を左右するくらいの衝撃の出会いだった。
現在は、POPS、FUNK、ROCK、歌謡曲、演歌、JAZZ、HARD ROCKなどジャンルに納まらないLIVE活動やサポート活動の他、インストラクターとしての顔も持つ。
また、イベント主催やミュージシャンコーディネーター(インスペクター)としても、高い評価を得ている。
演奏サポートやLesson希望の方は、Mailにてお問い合わせ下さい。
ウェブサイト:http://nakamuranobuaki.org